御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
リビングに奏を連れていき、バッグの中から一冊の本を出してテーブルの上に置いた。

それは週刊誌だった。

「これを見てほしい」

鷹凪がページをめくると、そこには『スクープ』という文字が躍っていて、男女の密会する写真が複数枚載せられていた。その内容は――

「ダブル不倫って……鷹凪さんと私が!?」

先ほど記者が言っていた単語がその記事の中に記されていた。

しかも、驚くべきはその相手で――

「小田桐議員とその奥様と、私たちがトレード不倫!? なんですかこれは」

「俺は美影と、奏は誠司と、それぞれ証拠写真を撮られた」

見れば鷹凪は美影とともにタクシーから降りてくるところを隠し撮りされていた。

奏は自身の写真こそないものの、小田桐がこのマンションを出入りしている姿が二枚撮られ『密会の証拠』とされていた。

「記事によれば、俺は美影をホテルに連れ込みお泊り愛を、奏は俺の留守中に小田桐を部屋に連れ込んでいた、とある」

鷹凪は沈痛な面持ちで額に手を置く。奏は呆然とテーブルの前で立ち尽くしていた。
< 92 / 147 >

この作品をシェア

pagetop