御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
「……言えません」
「どうして……」
愕然とする鷹凪。そのままうしろを向いて黙り込んでしまった。
奏は自分の口下手を呪った。こういうとき、嘘でもいいから彼を安心させられるような言葉がポンと出てきてくれたらいいのに。
「今はまだ……でもいつか、ちゃんとお話するので……」
間髪入れず、彼の胸ポケットに入っていた端末からピーピーという電子音が流れ始めた。鷹凪は端末を耳に当てる。
「俺だ――ああ。わかった。……すぐに帰る」
それだけ言って通話を切ると、鷹凪は奏と視線を合わせぬまま再び出かける用意を始めた。
「……仕事に戻る。奏はしばらく家から出ないでおとなしくしていてくれ」
「た、鷹凪さん!?」
「居留守を使え。絶対にインターフォンに出るな。なにかあったら篠田に電話してくれ」
「待っ――」
引き留めようとした奏の手を、鷹凪は抑え、そして離した。
まるで、もう触るなとでもいうように。
「……悪い。今はなにも考えられない。しばらく頭を冷やす時間をくれ」
それだけぼそりと言い残し、鷹凪はリビングを出ていってしまった。
「どうして……」
愕然とする鷹凪。そのままうしろを向いて黙り込んでしまった。
奏は自分の口下手を呪った。こういうとき、嘘でもいいから彼を安心させられるような言葉がポンと出てきてくれたらいいのに。
「今はまだ……でもいつか、ちゃんとお話するので……」
間髪入れず、彼の胸ポケットに入っていた端末からピーピーという電子音が流れ始めた。鷹凪は端末を耳に当てる。
「俺だ――ああ。わかった。……すぐに帰る」
それだけ言って通話を切ると、鷹凪は奏と視線を合わせぬまま再び出かける用意を始めた。
「……仕事に戻る。奏はしばらく家から出ないでおとなしくしていてくれ」
「た、鷹凪さん!?」
「居留守を使え。絶対にインターフォンに出るな。なにかあったら篠田に電話してくれ」
「待っ――」
引き留めようとした奏の手を、鷹凪は抑え、そして離した。
まるで、もう触るなとでもいうように。
「……悪い。今はなにも考えられない。しばらく頭を冷やす時間をくれ」
それだけぼそりと言い残し、鷹凪はリビングを出ていってしまった。