御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
その部分の記事を読めば、タクシーでホテルに向かったところを激写したのが数か月前、その後、定期的に会っていると書かれている。

さらに美影に至っては、まだ公表していない妊娠のことにまで触れていて、お腹の子は逆算すると鷹凪との子どもではないかとまで書かれていた。

(そんなわけない! 美影さんは、小田桐さんのことをとても愛しているって――)

そう断言しようとしたところで、ふと影が差す。本当だろうか。だとするなら、この写真はいったい……。

(どこからどこまでが本当なの……?)

ただでさえ昔関係を持っていたふたりだ。復縁という流れになっても、おかしくないような気がして。

(全部、嘘ですよね、鷹凪さん……?)

信じたくて、信じられなくて、今まで感じたこともない嫉妬心がむくむくと湧きあがってきて、自分の心の奥底にはこんなにも深い闇が存在していたのかと奏自身が驚いてしまった。

もしも鷹凪の心がすでに美影に向いていたら……?

もしも小田桐と秘密裏に会っていたことを許してもらえなかったら……?

そんな不安がぐるぐると胸中をかけめぐる。
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