いつかの星の下で
ずっと不思議に思っていた。
俺と同じ日に、同じ制服を着て
同じバスに乗って、
同じトコロへ行くのに
名札は色が違うだけなのに
同じ教室のどこにもいない君。
ずっと後ろ姿だけを見てた。
そんなある日。
いつものように
ホールへ遊びに行こうとして、
遅れてきた友だちを
早く、と急かして振り返ると、
本棚の隣の陽だまりで
壁にもたれて絵本を捲る君の姿があった。
長い髪が太陽の光に反射して
綺麗な栗色に輝いていた。
少し俯き加減で
サラッと流れた髪の隙間から
見えた名札には
「みやた あや」
そう書かれていた。
「おーい、ゆうきー!!
おいてっちゃうぞー!!」
いつの間にか
急かしていたはずの友だちが
先を行って、今度は俺を急かす。
(あや、っていうんだ)
「…っ、あー、まってよー!!」
初めて真正面から見た絢の儚げな姿が、
幼心に、やけに鮮明に映って、
その日1日、いつものように
絢の後ろに並ぶまで
ずっと、頭から離れることはなかった。