いつかの星の下で
その日俺は、
持てる限りの勇気を振り絞って
絢に話しかけた。
「ねぇねぇ、なにぐみさん??」
自分に向けられた言葉だと
気づかなかったのか、
少し遅れて絢は振り向いた。
少し戸惑ったように
何回か瞬きをして、
名札を俺の方に向けた。
名札の色から、絢が俺よりも
ひとつ上の組にいたことを
初めて知った。
やがてバスの時間が来ると、
俺も絢も同じバスに乗り込む。
(バス、いっしょだったんだ…)
その時は理由は
分からなかったけど、
絢と同じバスに乗っていることが
何だか嬉しかった。
今思えば、
「初恋」ってやつだったのかな。