副社長の一目惚れフィアンセ
『そういえばこの前詩織の遺品の中からアルバムが出てきてね、お盆の時ウチに寄って見ていってちょうだい』

「うん…」

『詩織は昔から優秀でねえ…』

また始まった。今日は長くなりそうだ。

だけど、私には電話の相手をするくらいのことしかできない。

お母さんは今たったひとり、小さなアパートで暮らしているのだ。

そこに飾ってある15年前の『詩織』の写真を毎日眺めて、寂しくなって電話をしたくなる気持ちもわからなくはない。



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