副社長の一目惚れフィアンセ
私が今回できる報告は、婚約披露パーティーで失態を犯したこと。
ナオのお友達に申し訳ないことをしてしまったこと。
そのくらいだ。
お母さんにはもちろんこんな話をする気はないけど、お姉ちゃんは呆れているだろう。
だけどそのたびに婚約者の彼が私の心を癒してくれること。
私を愛してくれていること。
お姉ちゃんが安心するように、それも伝えておこう。
ずいぶん長い合掌のあと、石段へ続く細い道を歩いていたら、紗耶と瀬名に出会した。
「おっ今お参り終わったとこ?」
「うん」
紗耶と瀬名の祖父母のお墓もこの墓地にある。
だけど、もっと低い場所にあるはずだから、きっとお姉ちゃんのお参りのために上ってきてくれたんだろう。
「おばさん、お久しぶりです」
「ええ、久しぶりね。詩織のところに来てくれたの?
喜ぶわよお。本当にあの子は、歳の離れた子にもこうして慕われて…」
ああ、始まった。私以外に詩織の話をできる相手がいると、いつもよりも話が長くなる。
紗耶も瀬名も嫌な顔をせず、お母さんの話に頷いてくれているけど、本当は戸惑っているに違いない。
この2人は、こんなふうに壊れているお母さんを目の当たりにするのは久しぶりなのだ。
ナオのお友達に申し訳ないことをしてしまったこと。
そのくらいだ。
お母さんにはもちろんこんな話をする気はないけど、お姉ちゃんは呆れているだろう。
だけどそのたびに婚約者の彼が私の心を癒してくれること。
私を愛してくれていること。
お姉ちゃんが安心するように、それも伝えておこう。
ずいぶん長い合掌のあと、石段へ続く細い道を歩いていたら、紗耶と瀬名に出会した。
「おっ今お参り終わったとこ?」
「うん」
紗耶と瀬名の祖父母のお墓もこの墓地にある。
だけど、もっと低い場所にあるはずだから、きっとお姉ちゃんのお参りのために上ってきてくれたんだろう。
「おばさん、お久しぶりです」
「ええ、久しぶりね。詩織のところに来てくれたの?
喜ぶわよお。本当にあの子は、歳の離れた子にもこうして慕われて…」
ああ、始まった。私以外に詩織の話をできる相手がいると、いつもよりも話が長くなる。
紗耶も瀬名も嫌な顔をせず、お母さんの話に頷いてくれているけど、本当は戸惑っているに違いない。
この2人は、こんなふうに壊れているお母さんを目の当たりにするのは久しぶりなのだ。