副社長の一目惚れフィアンセ
「…どうしたんだ?」
「…直斗さん」
「え?」
突然呼び方が変わったことにびっくりしたんだろう。
ナオは素っ頓狂な声を出した。
「…婚約、解消させてください」
「え!?」
裏返るナオの声。見開いた目には、困惑の色を隠せない。
だけど、何も答えない真顔の私を見て本気だということは伝わったんだろう。
「いきなりどうしてっ…!何かあったのか!?」
強い口調で私の両肩を強く掴み、眉を寄せるナオ。
それは眩しくて顔を歪めて写真に映っていた男の子の顔と、確かに重なる。
真実を知った瞬間のナオの顔を見るのが怖くて、私は顔をそらした。
「…私の出来のいい姉は15年前に亡くなっています。
離婚前の旧姓は木村。…木村詩織」
時間が止まったみたいに、部屋の中がしんと静まり返った。
ナオは何も言わない。
きっと彼の頭の中は今真っ白だ。
「ナオって呼んでって言ったのは、お姉ちゃんがナオって呼んでたからでしょ?」
「…っそれは…っ」
「私は!!」
叫び声がリビングに響いた。
「…私は詩織じゃない…」
必死に声を絞り出した途端、溢れ出した涙はもう止まらず、次から次へと零れ落ちてブラウスを濡らしていく。
「…直斗さん」
「え?」
突然呼び方が変わったことにびっくりしたんだろう。
ナオは素っ頓狂な声を出した。
「…婚約、解消させてください」
「え!?」
裏返るナオの声。見開いた目には、困惑の色を隠せない。
だけど、何も答えない真顔の私を見て本気だということは伝わったんだろう。
「いきなりどうしてっ…!何かあったのか!?」
強い口調で私の両肩を強く掴み、眉を寄せるナオ。
それは眩しくて顔を歪めて写真に映っていた男の子の顔と、確かに重なる。
真実を知った瞬間のナオの顔を見るのが怖くて、私は顔をそらした。
「…私の出来のいい姉は15年前に亡くなっています。
離婚前の旧姓は木村。…木村詩織」
時間が止まったみたいに、部屋の中がしんと静まり返った。
ナオは何も言わない。
きっと彼の頭の中は今真っ白だ。
「ナオって呼んでって言ったのは、お姉ちゃんがナオって呼んでたからでしょ?」
「…っそれは…っ」
「私は!!」
叫び声がリビングに響いた。
「…私は詩織じゃない…」
必死に声を絞り出した途端、溢れ出した涙はもう止まらず、次から次へと零れ落ちてブラウスを濡らしていく。