副社長の一目惚れフィアンセ
プルルル プルルル プルルル プルルル


いいタイミングでナオのスマホが音を上げた。

これは仕事のほうのスマホの音だ。

出ないわけにはいかない。

ナオはもどかしそうに顔を歪め、それでもスマホのほうへ手を伸ばした。

その間に、私はカバンを持って走って玄関に出た。

「え!?どういうことだ」

切迫したナオの声が背中に聞こえたけど、それについて深く考えることはしなかった。

今の私はここにはいられない。

多分、まともに話はできない。

ナオの電話が終わる前に、早くここから出て行ってしまいたかった。



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