副社長の一目惚れフィアンセ
プルルル プルルル プルルル
会話を遮るように鳴り出した電話にハッとした。
光っているのは、テーブルに置かれている私のスマホだ。
ナオの仕事用のスマホじゃないことに安堵しながらも、せっかくナオが気持ちよく横になっていたのを邪魔してしまって申し訳ない気持ちになる。
ナオが起き上がり、私は「ごめんね」とナオに謝りながらスマホを手に取った。
画面に表示された名前は『お母さん』で、また憂鬱な気分になる。
『ねえ。詩織の誕生日会をしましょうよ』
「え?」
開口一番の突拍子もない提案に戸惑った。
誕生日会なんて今まで一度もしたことがないし、誕生日にお墓参りに行ったこともない。
アルバムを見たことで刺激されたのかもしれない。
最近のお母さんはますます壊れているような気がする。
お姉ちゃんの誕生日は9月25日。
カレンダーを見ると平日だ。
「無理だよ。水曜日だもん」
『詩織の誕生日よ?仕事休めないの?』
「誕生日くらいで仕事休めるわけないでしょ」
隣のナオには丸聞こえらしく、眉をひそめてこっちをじっと見ている。
会話を遮るように鳴り出した電話にハッとした。
光っているのは、テーブルに置かれている私のスマホだ。
ナオの仕事用のスマホじゃないことに安堵しながらも、せっかくナオが気持ちよく横になっていたのを邪魔してしまって申し訳ない気持ちになる。
ナオが起き上がり、私は「ごめんね」とナオに謝りながらスマホを手に取った。
画面に表示された名前は『お母さん』で、また憂鬱な気分になる。
『ねえ。詩織の誕生日会をしましょうよ』
「え?」
開口一番の突拍子もない提案に戸惑った。
誕生日会なんて今まで一度もしたことがないし、誕生日にお墓参りに行ったこともない。
アルバムを見たことで刺激されたのかもしれない。
最近のお母さんはますます壊れているような気がする。
お姉ちゃんの誕生日は9月25日。
カレンダーを見ると平日だ。
「無理だよ。水曜日だもん」
『詩織の誕生日よ?仕事休めないの?』
「誕生日くらいで仕事休めるわけないでしょ」
隣のナオには丸聞こえらしく、眉をひそめてこっちをじっと見ている。