副社長の一目惚れフィアンセ
『××年4月15日

小テスト30点…お母さんに怒られるー
いつ見せようかな。明里のプリントのほうがよっぽど成績いいよ』


どの内容を見ても、お母さんが言っていたのと全然違う。

「明里のお母さんは詩織を過剰に褒めてたけど、全部記憶が美化されているだけだ。
俺は明里から出来のいい姉がいると聞いて、詩織のことのわけがないと思ったくらいだ。
テストは毎回赤点で補習。体育祭の200m走は最下位。
友達は多かったけど、だいぶ子どもっぽい面があった」

紗耶たちの言う通りだ。

『記憶が塗り替えられてる』って。

だけど、あまりにも私の中のお姉ちゃん像と違いすぎて困惑してしまう。

完璧なはずだったお姉ちゃんはお母さんの幻想で、私はいつの間にかそれを刷り込まれていたってこと…?


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