副社長の一目惚れフィアンセ
翌日の夕方。

フローラルカフェの場所がわからずに検索したら、どうやら莉乃さんのご自宅のそばにあるカフェらしい。

呼び出しておいて自分の家の近くだなんてと思ったけど、相手はお嬢様だ。

そういうものなんだろう。


カフェにはすでに莉乃さんが来ていた。

髪型が違うから一瞬迷ったけど、赤いネイルと赤いルージュでなんとなくわかった。

この人はきっと赤が好きなのだ。

向こうも一瞬私が誰だかわからなかったらしく、じーっと私を見つめていた。

テーブルに寄り声をかける。

「あの、莉乃さんですよね」

莉乃さんはなぜかふっと吹き出して人目もはばからず大笑いをし始めた。

「あなた、お化粧落とすとそんな地味な顔だったのね。ますます凡人だわ」

笑い続ける莉乃さんにムッとしながらも、間違っていないから反論もできない。

失礼します、とあからさまに不機嫌に言って向かいに座った。




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