副社長の一目惚れフィアンセ
悲しいかな、月日は俺の気持ちを少しずつ整理させてくれて、もう日記帳を開いても胸は痛まなかった。

開いた日記を、俺は少しドキドキしながら読み始めた。

それは毎日1ページずつ真面目に綴った日記ではなく、平気で2,3日飛ばしてしまうような…しかも書いても一言だけというなんとも詩織らしい大雑把な日記だった。

高1から高3の冬に亡くなるまで、2年半以上の日記。

詩織らしさにたくさん笑いながら、ふたりの思い出にたくさん涙しながら、ページをめくり続けた。

最後は、亡くなる1週間前の日付で終わっていた。

亡くなる直前に、これを俺の部屋に隠していたのか?

ただの詩織のいたずらで片付けるにはタイミングが合いすぎる。

疑問は募ったけど、最後の日記はますます首を傾げる内容だった。


『××年12月✖︎日

明里に倒立の仕方を教えた。
って言っても私はできないんだけど、明里は練習したらちゃんとできた!
えらいえらい!
もっといろんなことを教えてあげられたらよかったな。
もっと明里が大きくなったら、一緒に恋バナとかしたかったな』



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