副社長の一目惚れフィアンセ
違和感を覚えた。

もう教えてあげられない。明里が大きくなっても恋バナはできない。

まるで自分がいなくなってしまうことがわかっていたような文章だ。

まだ半分近く残っている空白のページをパラパラとめくり、裏表紙を閉じたとき。

一瞬何かが目についた気がして、裏表紙をもう一度開いた。


最後のページ。

そこには、『直斗へ』と書かれた詩織らしくない長い文章があった。

何かとても大切なことが書いてあるんだと直感して、ごくりと唾を飲んで、ゆっくりと読み始めた。




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