副社長の一目惚れフィアンセ
言っている意味はよくわからなかったけど、私はその文章をゆっくり目で追い始めた。

途中、つたい始めた涙は止まることはなく、日記を汚さないように何度も目元を拭った。

そして最後の文を読んだとき、私の涙腺は決壊した。


『P.S.
未来を予測する力なんて、私にはないけど
直斗の愛する人が、生涯を共にする人が、私にはなんとなくわかる気がするの。
もしも当たっていたら、その時はふたりでこのページを読み返してほしいな。
一番幸せになってほしいふたりへ。愛を込めて』


「初めて読んだときは、意味がわからなかったんだ。だけど、明里に出会ってやっとわかった。
詩織の力は、案外すごいものだったんだよ」

「…うん、そうだね。きっとお姉ちゃんが私たちを引き合わせてくれたんだね」

閉じた日記をぎゅっと抱きしめて、お姉ちゃんのことを思った。


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