副社長の一目惚れフィアンセ
「結婚に先駆けて、婚約披露パーティーをすることになります」

「…へ？」

「7月の中旬にライアンホテルの大広間でのパーティーを予定しております。
その間にドレス選びをしていただかなくてはなりません。
副社長の仕事が今週いっぱいで一区切りするので、その後一緒にということです」

ライアンホテル…名前は誰でも知っている有名ホテルだ。

海外の要人が来ると必ずここに泊まると言われている、凡人には一生縁のない場所。

そこの大広間…？

眩暈どころじゃない。失神しそうだ。

社長への挨拶という最大の難関は乗り切ったはずなのに、これからまた難関が待ち受けているとは思いもしなかった。


…そういえば、すっかり忘れていた。

普通の夫婦がお互いの家と親戚づきあいをするように、副社長と結婚すれば、社長に会うのはあれが最後じゃない。

社長は義父になるのだ。これからも関わる機会はたくさんあるだろう。

そして、パーティーのようなものに夫婦で参加しなければならない機会もあるのかもしれない。

それは一生ついて回る。



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