副社長の一目惚れフィアンセ
「…彼、忙しいから、落ち着いたらそっちに挨拶に行くね」

『わかったわ。よかったわあ、嫁の貰い手があって。
しかも副社長だなんて!早速詩織に報告しなきゃね』

「そうだね」

『あんたは詩織と違って料理下手だから、愛想つかされないようになんとか結婚まで持っていきなさいよ?』

「うん」

『そういえば詩織が昔ね…』

今回も適当に相槌を打って、お母さんが納得して電話を切るまで、ただ時間が過ぎるのを待った。

お母さんのこういう言い方には、もう慣れっこのはずなのだ。

だけど、やっぱり時々つらくなる。

私は一体お母さんにとって何なんだろう。

とにかく、お母さんへの報告は無事に済んだ。

しばらくこちらから連絡する必要はないだろう。

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