副社長の一目惚れフィアンセ
9歳年上のお姉ちゃんのお墓は、当時住んでいた町田にある。

平塚からは離れているから、お墓へ行ったからといってついでに実家に寄る、なんて面倒なことをしなくていい。

なるべく実家には帰りたくないし、お母さんには会いたくない。


最寄駅からタクシーに乗り、車の入れない高台の入り口からは狭い道を登り進む。

緩い上り坂の左右に見えるのは古い民家ばかり。

私が住んでいた頃は賑やかだった公園も、今では子供が少ないのか閑散としている。

寂れていく一方の風景が、時の流れを物語っている。


…そっか。あれからもう15年も経つんだ…

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