副社長の一目惚れフィアンセ
紗耶たちの家はそこから5分ほど先だ。

2階建ての家で、玄関前にはカーポートがついている。

いつもここで待ち合わせをして、3人で小学校に通学していたのだ。


ピンポーン…


インターホンを鳴らすと、中から「はいはーい!」と大きな声が聞こえて、バタバタと駆けてくる音がした。

相変わらずだな、と吹き出していたら、扉を開けて出てきたのは紗耶だ。

「待ってたよー。いらっしゃい」

「お邪魔します」

「…何笑ってんの?」

「ん?なんでもないよ」

「ふうん?ま、入って入って」

背中を押されて無理やり階段を上らされ、紗耶の部屋に押し込められて、第一声。

「ちょっと指輪見せて!」

私の左手をグイっと引っ張り、鑑定士のようにいろんな角度からじーっと指輪を見つめた。

だけど、紗耶も宝石には全く詳しくないし、ブランド物にも興味はない。

「綺麗だけど価値はサッパリわからないわ」

早々に諦めて手を離した。


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