副社長の一目惚れフィアンセ

すぐに部屋に私服が届き、私はシャワーを浴びた。

さすが高級ホテル。アメニティはブランド物の化粧品ばかりだ。

この厚化粧は簡単に落ちるんだろうかと思っていたけど、高級クレンジングのおかげで綺麗に落ちた。

…そして化粧で化けた私の顔は、あっという間にいつも通りの平凡な顔に戻った。

こうして鏡を見て思う。
本当にナオは私のどこがよかったんだろう、と。


『一目惚れに理由がいる？』


そう言われてしまったから、それ以上言及のしようもない疑問。

私がいなかったらナオのフィアンセになるはずだったらしい莉乃さんは、とても綺麗な女性だった。

酔っていたけど、きっと本来とても洗練されたお嬢様なんだろう。

華やかで堂々とした雰囲気は、ナオの隣に立つにはよく似合う。

私なんかよりもずっと。