ぶぶ漬けでもいかが? 〜口は災いの元〜


「しつこない、フツーや」

直ぐに気を取り直して書類を綺麗にし、チラリとわたしに氷点下の視線を投げる。




あれからそろそろ10日ほどがたとうかというのに、一度も誘われない。

エッチどころかデートも。

会社ではずっと同じ空間に居るのに、甘い雰囲気にもならない。


相変わらずの冷凍庫、安定のクールさ加減。



デレデレになるとこが見たいんですー。
イチャイチャ甘々したいんですー。




脳ミソ溶けそうなほど甘やかして欲しいんですー。



「・・・やっぱ30過ぎると回復に時間かかるんやな・・・・・」



ボソリと呟いたわたしの言葉。
聞き取れないくらいの小さな声やからどうせ届きはしない。


社長のデスクの上の電話が鳴り出した。
傍らに立っていたわたしが受話器を上げる。


「はい、社長室」


総務から昼からの社長が出席する会議の確認だ。


「13時からですよね、はい、社長に伝えます。ありがとうございますーーーー」
< 2 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop