ぶぶ漬けでもいかが? 〜口は災いの元〜
「しつこない、フツーや」
直ぐに気を取り直して書類を綺麗にし、チラリとわたしに氷点下の視線を投げる。
あれからそろそろ10日ほどがたとうかというのに、一度も誘われない。
エッチどころかデートも。
会社ではずっと同じ空間に居るのに、甘い雰囲気にもならない。
相変わらずの冷凍庫、安定のクールさ加減。
デレデレになるとこが見たいんですー。
イチャイチャ甘々したいんですー。
脳ミソ溶けそうなほど甘やかして欲しいんですー。
「・・・やっぱ30過ぎると回復に時間かかるんやな・・・・・」
ボソリと呟いたわたしの言葉。
聞き取れないくらいの小さな声やからどうせ届きはしない。
社長のデスクの上の電話が鳴り出した。
傍らに立っていたわたしが受話器を上げる。
「はい、社長室」
総務から昼からの社長が出席する会議の確認だ。
「13時からですよね、はい、社長に伝えます。ありがとうございますーーーー」