冷酷な騎士団長が手放してくれません
親しげに会話を続けているニールとベルの隣で、ソフィアは一人不安な気持ちに苛まれていた。
その時、大勢の人が行き交う広間の入り口に、見知った人陰を見つけた。
リアムだ。すでに副騎士団長として腕を見込まれているリアムは、入口の護衛を任されているらしい。
大勢の着飾った人々の中で煌々と輝く、癖がかった金色の髪。簡素な濃紺の軍服すら見惚れるほどに着こなす、バランスのとれた体躯。
細身の黒ズボンの足を伸ばし、姿勢よく直立する姿は、凛々しく気品に満ちている。とてもではないが、一介の騎士とは思えない。
彼の美しさは来客の令嬢たちも放っておけないらしく、護衛の立場でありながら、リアムはしきりに話しかけられていた。
淡々とあくまでも無表情でそれに応えながら、広間に目を光らせ任務を遂行しているリアム。
「それでは、ベル殿。またのちほど」
「ああ、楽しませていただくよ」
ベルに挨拶を済ませたニールが、「あちらに行こう」と耳もとで囁きながら、ソフィアの腰に手を添える。
「ええ」
ソフィアは、ニールにエスコートされるがまま歩きはじめた。
(リアム……)
歩きながら、そっと後ろを振り返る。
遠くに佇む騎士は、まるでソフィアの心の呼び声が聴こえたかのように、青い瞳をこちらに向けていた。
その時、大勢の人が行き交う広間の入り口に、見知った人陰を見つけた。
リアムだ。すでに副騎士団長として腕を見込まれているリアムは、入口の護衛を任されているらしい。
大勢の着飾った人々の中で煌々と輝く、癖がかった金色の髪。簡素な濃紺の軍服すら見惚れるほどに着こなす、バランスのとれた体躯。
細身の黒ズボンの足を伸ばし、姿勢よく直立する姿は、凛々しく気品に満ちている。とてもではないが、一介の騎士とは思えない。
彼の美しさは来客の令嬢たちも放っておけないらしく、護衛の立場でありながら、リアムはしきりに話しかけられていた。
淡々とあくまでも無表情でそれに応えながら、広間に目を光らせ任務を遂行しているリアム。
「それでは、ベル殿。またのちほど」
「ああ、楽しませていただくよ」
ベルに挨拶を済ませたニールが、「あちらに行こう」と耳もとで囁きながら、ソフィアの腰に手を添える。
「ええ」
ソフィアは、ニールにエスコートされるがまま歩きはじめた。
(リアム……)
歩きながら、そっと後ろを振り返る。
遠くに佇む騎士は、まるでソフィアの心の呼び声が聴こえたかのように、青い瞳をこちらに向けていた。