冷酷な騎士団長が手放してくれません
「ありがとうございます」


リアムは深々と頭を下げると、包帯の巻かれたソフィアの手に恐る恐る触れた。


そして、まるで壊れ物を扱うように優しく唇を寄せる。


その時、ソフィアは奇妙な気配を感じた。


手の傷を介してリアムの息吹が送り込まれ、あたたかな熱を持ってソフィアの全身を駆け巡るような。









「どうか、僕を下僕としてお使いください。あなたの命令ならなんでもお聞きします。あなたのためなら、なんでも致します」


真摯なリアムの声色が、部屋中に響き渡る。


「わかったわ」


ソフィアは、優しく答えた。










「だから、もう顔を上げて。そして最初の命令よ。私と一緒に、食事を食べにダイニングに行きましょう。だって、リアムはここに来てから何も食べていないんでしょ?」


するとリアムはようやく顔を上げ、「かしこまりました」とソフィアの初めての命令に従った。
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