冷酷な騎士団長が手放してくれません
それからの、ソフィアの記憶は曖昧だ。


リアムに付き添われ、広間をあとにしたのは覚えている。部屋に戻ると、大急ぎで侍女たちが別のドレスを着つけてくれたこともなんとなく覚えている。


だが大勢の人達にあんな姿を見られてしまったショックから、ソフィアは精神的不安定になっていた。意識も朦朧とし、定まらない。


せっかくの披露目のパーティーで醜態を晒したソフィアを、ニールはどう思っただろう? カダール公爵は? マルガリータ公爵夫人は? 


格式高きカダール公爵家に、拭えない泥を塗ってしまった。こんなことが知れたら、リルべの両親も失望するだろう。


胸が苦しくなり、強烈な眠気がソフィアを襲う。とてもではないが広間に戻る勇気は持てなくて、ベッドに突っ伏したソフィアは、そのまま深い眠りについた。
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