冷酷な騎士団長が手放してくれません
リアムの言う通り、雨水を吸い込んだドレスはずっしりと重たく、ソフィアの体を芯から凍えさせていた。
じっと耐えてはいるが、指先や足先にはすでに感覚がない。
だが、ソフィアは緩やかに首を振った。
「嫌よ。着替える服がないもの」
リアムに毎日のように着替えを手伝ってもらっていた、あの頃とは違う。リアムに対する自分の想いに気づきつつある今は、彼の前で以前と同じようには振舞えない。
「そこの毛布にくるまればいい。そんな服を着たままだと、ひどい病気になってしまいます」
それでも、ソフィアは断固として首を縦には振らなかった。寒さが全身をくまなく巡り、いよいよ震えを隠せない段階まできている。顔だって、きっと蒼白だろう。それでも、異性と認識したリアムの前で、服を脱ぐのには抵抗があった。
すると伸びて来た手が、突如ソフィアを抱き寄せた。リアムの手が、ソフィアのドレスの背中のホックを外しはじめる。
「あなたがやらないなら、俺がやります」
「待って……! 自分でするから」
ソフィアは慌ててリアムの体から逃れると、立ち上がり部屋の隅に移動した。
リアムに、触れられるのが怖かった。あの熱を肌に感じてしまえば、心に決めた全てが消えてしまう気がした。ニールと結婚するという固い決意も、リアムとの主従関係をやめることも。
ソフィアの態度に虚を突かれた顔をしつつも、リアムは何も言わなかった。そして、ソフィアに背を向ける。後ろを向いているから、脱げという意味なのだろう。
ソフィアは毛布を手繰り寄せると、おぼつかない手つきで着ていたドレスを脱ぎ捨てた。ペチコートとコルセットも外せば、雨水の冷たさと重みから体がようやく解放される。
迷ったが、上半身を覆っていたシュミーズも脱いだ。雨水はシュミーズまで染み込んでいて、肌に張り付いて不快だったからだ。アンダーウェアだけの状態になると、ソフィアは慌てて背中から毛布を掛け、すっぽりと裸体を隠した。
じっと耐えてはいるが、指先や足先にはすでに感覚がない。
だが、ソフィアは緩やかに首を振った。
「嫌よ。着替える服がないもの」
リアムに毎日のように着替えを手伝ってもらっていた、あの頃とは違う。リアムに対する自分の想いに気づきつつある今は、彼の前で以前と同じようには振舞えない。
「そこの毛布にくるまればいい。そんな服を着たままだと、ひどい病気になってしまいます」
それでも、ソフィアは断固として首を縦には振らなかった。寒さが全身をくまなく巡り、いよいよ震えを隠せない段階まできている。顔だって、きっと蒼白だろう。それでも、異性と認識したリアムの前で、服を脱ぐのには抵抗があった。
すると伸びて来た手が、突如ソフィアを抱き寄せた。リアムの手が、ソフィアのドレスの背中のホックを外しはじめる。
「あなたがやらないなら、俺がやります」
「待って……! 自分でするから」
ソフィアは慌ててリアムの体から逃れると、立ち上がり部屋の隅に移動した。
リアムに、触れられるのが怖かった。あの熱を肌に感じてしまえば、心に決めた全てが消えてしまう気がした。ニールと結婚するという固い決意も、リアムとの主従関係をやめることも。
ソフィアの態度に虚を突かれた顔をしつつも、リアムは何も言わなかった。そして、ソフィアに背を向ける。後ろを向いているから、脱げという意味なのだろう。
ソフィアは毛布を手繰り寄せると、おぼつかない手つきで着ていたドレスを脱ぎ捨てた。ペチコートとコルセットも外せば、雨水の冷たさと重みから体がようやく解放される。
迷ったが、上半身を覆っていたシュミーズも脱いだ。雨水はシュミーズまで染み込んでいて、肌に張り付いて不快だったからだ。アンダーウェアだけの状態になると、ソフィアは慌てて背中から毛布を掛け、すっぽりと裸体を隠した。