冷酷な騎士団長が手放してくれません
ロイセン王は肘掛に両腕を置くと、真っすぐにソフィアを見つめて語り出した。
「我が国には、古くから伝わる書物がある。それはこの国の滅亡を予言した、とても恐ろしいものだった。金色の髪を持った王太子が再び生まれその王太子が殺される時ロイセン王朝は滅びる、という内容が記されている」
頭を垂れながら、ソフィアは黙ってロイセン王の言葉に耳を澄ましていた。
「代々の王は、その予言に怯えながら王位を継いだ。だが、予言の書に書かれたようなことは起こらなかった。そして私の代に、ついに金色の髪の王太子が再び生まれたのだ。私は彼の命を守るために、城の地下から一歩も出さずに育てることにした。国民に、その存在すら知らせずに」
苦しげに語る王の手を、王妃がそっと握り締める。
「だが、予言に逆らうことは出来なかった。王太子が十歳になった頃、彼は毒薬を飲まされ連れ去られた。私は、彼は死んだものと思っていた。だが、彼は生きていたのだ。彼に忠誠を誓った騎士が彼の行方を追い、その事実を突き止めた」
(まさか……)
ソフィアの胸が、大きく鼓動を鳴らした。
ロイセン王の言わんとしていることが、ソフィアにも分かりつつあった、
初めて会った時、地下の下水道のような場所で、毒を飲まされ高熱にうなされていたリアムの姿が脳裏に蘇る。
「予言とは違う顛末に驚きつつも、私はダンテに護衛を頼んでそのまま王太子を見守ることにした。不幸な運命を呪うこともなく、数々の試練に見舞われながらも、彼は立派に成長してくれた。それは全て……」
ソフィアを見つめるロイセン王の瞳に、温もりが宿る。
「君のおかげだよ。ソフィア・ローレン・アンザム」
「我が国には、古くから伝わる書物がある。それはこの国の滅亡を予言した、とても恐ろしいものだった。金色の髪を持った王太子が再び生まれその王太子が殺される時ロイセン王朝は滅びる、という内容が記されている」
頭を垂れながら、ソフィアは黙ってロイセン王の言葉に耳を澄ましていた。
「代々の王は、その予言に怯えながら王位を継いだ。だが、予言の書に書かれたようなことは起こらなかった。そして私の代に、ついに金色の髪の王太子が再び生まれたのだ。私は彼の命を守るために、城の地下から一歩も出さずに育てることにした。国民に、その存在すら知らせずに」
苦しげに語る王の手を、王妃がそっと握り締める。
「だが、予言に逆らうことは出来なかった。王太子が十歳になった頃、彼は毒薬を飲まされ連れ去られた。私は、彼は死んだものと思っていた。だが、彼は生きていたのだ。彼に忠誠を誓った騎士が彼の行方を追い、その事実を突き止めた」
(まさか……)
ソフィアの胸が、大きく鼓動を鳴らした。
ロイセン王の言わんとしていることが、ソフィアにも分かりつつあった、
初めて会った時、地下の下水道のような場所で、毒を飲まされ高熱にうなされていたリアムの姿が脳裏に蘇る。
「予言とは違う顛末に驚きつつも、私はダンテに護衛を頼んでそのまま王太子を見守ることにした。不幸な運命を呪うこともなく、数々の試練に見舞われながらも、彼は立派に成長してくれた。それは全て……」
ソフィアを見つめるロイセン王の瞳に、温もりが宿る。
「君のおかげだよ。ソフィア・ローレン・アンザム」