冷酷な騎士団長が手放してくれません
ニールの囁きに、ソフィアの胸の奥から熱い何かが込み上げる。


「壊れそうなほどに、美しい」


薄い唇から紡がれる言葉は、官能的な響きを伴って、ソフィアの脳を刺激した。







ふいに浮かんだのは、先ほど目にした本の挿絵だった。


裸の女の上に、馬乗りになる男。


男の手は女の肌に触れていて、女は恍惚とした表情で男を見返していた。


重なり合った、二人の唇。


――男は、女の全てを欲する。


誰かの言葉が、耳に蘇る。


突如、行き場のない羞恥心と恐怖心が、ソフィアの心を支配した。






(こわい……)


リアムに汗を拭いてもらう時は、こんなこと考えたこともなかったのに。


リアムの手の感触と視線は、いつもソフィアを安心させた。


だがニールに触れられている今は、安心とは程遠い場所にいる。







首筋を滑ったニールのハンカチが、ソフィアの胸もとに差し掛かった。


谷間のふくらみに、ハンカチが触れた。


布越しに感じるニールの熱い指先に、ソフィアは震え上がる。




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