冷酷な騎士団長が手放してくれません
――――あれは、ソフィアが十歳の頃だった。


十三歳になったリアムは剣の素質を見込まれ、本格的に騎士団への入隊を認められた。


ソフィアは、よく隠れてリアムの練習を見に行った。


剣と剣の触れ合う音と騎士たちの勇ましい掛け声が、好きだった。怖い先生にテーブルマナーを学ぶより、よほど興味が持てたのだ。






「ソフィア様」


練習が終わると、リアムはすぐにソフィアのもとへと駆け付けてくれた。


「リアム、剣は楽しい?」


「はい。とても、面白いです」


「今度、私にも教えてくれる?」


「かしこまりました。もう少し、俺が強くなったら」


基本は愛想が悪いリアムだが、忠誠を誓ったソフィアにだけは笑顔を見せてくれる。


ソフィアはリアムの笑顔を見ると、いつも幸せな気分になるのだった。
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