冷酷な騎士団長が手放してくれません
リアムの身の潔白が証明されたのは、その翌日のことだった。
とある農家出の騎士が、自分が真犯人だと告白したのだ。
ことのあらましは、こうだった。
その騎士は人々の目を盗み、晩餐会の客人のネックレスを自分の懐に入れた。
だがネックレスの持ち主である客人が騒ぎ出し、早急に使用人全員の身体チェックがなされた際、彼の体から忽然とネックレスが消えていたのだという。
ネックレスはなぜかリアムのポケットから見つかり、騎士は脅えた。
「リアムは私を庇うために、わざとネックレスを自分のポケットに忍ばせたのです。身体を調べられると分かった際、私が目に見えて青ざめていたのを見て、心配していましたから。私を、助けようとしたのでしょう」
騎士は自ら騎士団を辞め、故郷の家に帰って行った。
その話を聞きつけたソフィアは、理解できずにリアムに詰め寄った。
無実の罪で、自ら望んで罰を受けるなんて。そんな、バカげたことがあるだろうか。
「リアム、どうして泥棒を庇ったりしたの?」
するとリアムは、「悪いのはあの男ではありません」と答えるのだった。
「あの男の家は家族が多く、おまけに母親が病気で、金に困っていました。そのため、あの男はダイヤを盗み、家族を救おうとしたのです。悪いのは、あの男の家族を貧困に追い込んだ、この国でございます」
リアムの鋭い眼差しに、ソフィアは返す言葉を失う。
「あの男を救えなかった自分が、情けない」
悔しそうに、歯を食いしばるリアム。
どんなに鞭で打たれようと泣かなかったリアムが、男の解雇を惜しみ、静かに涙を流していた。
その時ソフィアは、僅か十三歳のその少年の、奥深い優しさと聡明さを知ったのだ。
とある農家出の騎士が、自分が真犯人だと告白したのだ。
ことのあらましは、こうだった。
その騎士は人々の目を盗み、晩餐会の客人のネックレスを自分の懐に入れた。
だがネックレスの持ち主である客人が騒ぎ出し、早急に使用人全員の身体チェックがなされた際、彼の体から忽然とネックレスが消えていたのだという。
ネックレスはなぜかリアムのポケットから見つかり、騎士は脅えた。
「リアムは私を庇うために、わざとネックレスを自分のポケットに忍ばせたのです。身体を調べられると分かった際、私が目に見えて青ざめていたのを見て、心配していましたから。私を、助けようとしたのでしょう」
騎士は自ら騎士団を辞め、故郷の家に帰って行った。
その話を聞きつけたソフィアは、理解できずにリアムに詰め寄った。
無実の罪で、自ら望んで罰を受けるなんて。そんな、バカげたことがあるだろうか。
「リアム、どうして泥棒を庇ったりしたの?」
するとリアムは、「悪いのはあの男ではありません」と答えるのだった。
「あの男の家は家族が多く、おまけに母親が病気で、金に困っていました。そのため、あの男はダイヤを盗み、家族を救おうとしたのです。悪いのは、あの男の家族を貧困に追い込んだ、この国でございます」
リアムの鋭い眼差しに、ソフィアは返す言葉を失う。
「あの男を救えなかった自分が、情けない」
悔しそうに、歯を食いしばるリアム。
どんなに鞭で打たれようと泣かなかったリアムが、男の解雇を惜しみ、静かに涙を流していた。
その時ソフィアは、僅か十三歳のその少年の、奥深い優しさと聡明さを知ったのだ。