冷酷な騎士団長が手放してくれません
王子の愛着


壺が突如落下してきたあの夜、リアムはソフィアの身を案じて、幾つかの約束を言い渡した。


日中は、どんな些細な移動の際も侍女を連れて歩くこと。


夜は、入り口にもバルコニーにも鍵をかけて部屋から出ないこと。


そして、毎夜リアムがソフィアの部屋の真下に出向いて見張りをすること。





ソフィアは、翌日からその言いつけを守った。


リアムに会えないのは辛いが、バルコニーの下で彼がソフィアを見守っていくれているのを感じると、安心して眠りにつくことが出来た。






不穏な気配を感じながらも時は流れ、ソフィアがカダール城に来て一ヶ月が過ぎた。


蒸すような夏の暑さも遠ざかり、鳴り響く虫の音を穏やかな秋風が運ぶ夜。


カダール城では、いよいよソフィアの披露目の夜会が催されることになった。


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