恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「じゃなきゃお母さんだって、岸川さんに仕事クチを聞いてみようなんて思わないわよ」
「あぁ・・・うん。分かったから。じゃあとにかく、聞くだけ聞いてもらっても、いいかな」
「はいはい。それじゃ、お母さんはもう行くわね」
「うん。いってらっしゃい」
「後で電話するから、連絡取れるようにしといてちょうだい」
「はーい」
「じゃ、お花見楽しんでらっしゃい」
「ありがと、お母さん」

翔と二人で「白樺」へ出かける母を玄関で見送った後、私は掃除機をかけたり、洗濯をしながら、お昼に公園で食べる予定のお弁当を作った。
子どもの翔と、小柄な私の分なので、量的には二人というより、一人半くらいで十分だ。

「翔ー、そろそろお外に行こうかー」
「うん!」
「その前に、おトイレ、行っておこうね」
「はぁい」

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