恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「そぅ、じゃなくて・・嬉しくて。岸川さんが覚えてくれてたことに、感激して、つい・・・」
「それを聞いて安心したよ。なんか俺、悪いヤツになったような気がしてしまったからさ」
「すみません」
「いいって。それより、大丈夫か?水でも飲む?」と聞いてくれた岸川さんに、私は頭を左右にふって答えた。

「もう大丈夫です。面接・・お願いします」
「うん。じゃ・・・。えーっと、真緒(まお)さんから聞いたところ・・って今度は何」
「えっ!?いや、その・・私の母のことを名前で呼んでるから、ちょっと、なんていうか・・ビックリした・・」
「だって真緒さ・・湖都ちゃんのお母さんの名字は“ミズキ”だろ。それで自分の名前をさん付けで呼ぶのはなんかなぁ、と。・・・この会話も覚えてる?」
「・・・はぃ」

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