恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
悔し涙は出なかった。
そんな時期は、とっくの昔に過ぎたことだから。
心は深く傷ついている。でも不思議とスッキリしてもいた。
だからか、私はスッと立ち上がると、ふらつくことなく、背筋を伸ばして胸を張って、スタスタと歩くことができた。
もちろん、一口も飲まなかった紅茶代は自分で払って、カフェを出た。

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