恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
15時23分発の新幹線に乗ることができた。
3月とはいえ平日の、この時間帯のせいか、席に座っている人は少ない。
私は翔を窓際の席に座らせた後、隣の通路側の席に座った。
新幹線が発車した途端、翔は「わぁ」と弾んだ声を上げながら、窓にかじりつくように景色を見始めた。
そして好奇心いっぱいに輝いている息子の目を車窓越しに見ながら、私の右手は、翔の柔らかな黒髪を、自然となでていた。
里帰り時、ごくたまに見る、のどかな風景・・・。
だけどこのときの私は、外の景色とは全く別のことに意識を奪われていたせいか、景色は目に入らなかった―――。
3月とはいえ平日の、この時間帯のせいか、席に座っている人は少ない。
私は翔を窓際の席に座らせた後、隣の通路側の席に座った。
新幹線が発車した途端、翔は「わぁ」と弾んだ声を上げながら、窓にかじりつくように景色を見始めた。
そして好奇心いっぱいに輝いている息子の目を車窓越しに見ながら、私の右手は、翔の柔らかな黒髪を、自然となでていた。
里帰り時、ごくたまに見る、のどかな風景・・・。
だけどこのときの私は、外の景色とは全く別のことに意識を奪われていたせいか、景色は目に入らなかった―――。