恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「“両親”とは最低でも月に一度は必ず会ってるんだ。紀恵は沖縄に住んでて埼玉には滅多に来ない、てか来れないからな」
「えっ!?今岸川さん、埼玉にいるんですか!?」

驚いて聞く私に、岸川さんはあっさり「うん」と答えた。

「で、今日はその日で晩メシごちそうになって、今から家に帰るとこ・・・あー。もしかして湖都ちゃん、トモコさんのこと俺の彼女だと勘違いした?」
「え!いやっ別にその・・・・・・ごめんなさい。私には・・関係ないことなのに、いろいろ問いただしちゃって・・まるで嫉妬深い彼女みたい」

何気なく私の口から出た最後の呟きを、岸川さんはしっかりと聞いていたようだ。
スマホから、岸川さんのクスクス笑う声が聞こえてきた。

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