恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「今から誰も待ってない真っ暗な家に帰るせいかなー、湖都の優しい声聞けて、なんか俺・・ホッとした」
「・・え?え、っと・・・そぅ、ですか・・・」

ま、また!岸川さん、「湖都」って呼び捨てした・・・!

再び私の心臓が忙しくドキドキ跳ね始めたのを、極力無視するように努めた。

今のはきっと・・・岸川さんは無意識に呼び捨てただけで――だって、その方が文字数少なくなる分、呼びやすいし――特に深い意味もなくて!
とにかく、何でもないのよ!と、自分に言い聞かせた。

「・・・湖都?」
「ぁ・・はいっ?あの・・・おやすみ、なさい」
「うん。おやすみ」

やっとの思いでスマホをオフにした私は、全身脱力しながら息をついていた。

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