恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「あの。土井さんはお仕事があるでしょう?だから私がやります」
「あらそーお?じゃあお任せしてもいいかしら」
「はい!翔は昨日いたお部屋で待っててね。ママはお水を持ってすぐ戻ってくる」
「うんっ」
「あぁそうそう。所長は今こっちに向かっているところよ。そうね・・あと15分くらいでここに着くと思うわ」と言った土井さんは、さっきからずっと鳴っているベル音に応えるべく、電話を受けに歩いて行った。

忙しそうな土井さんの背中に向かって、「あ、はい!ありがとうございます」と答えた私は、昨日、私たちが待っていた部屋に翔を連れて行った後、隣のミニキッチンへ行って、お水を注いだグラスを一つ、翔に持って行った。

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