恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「はい、できたよ」
「ありがと、ママ!いただきまぁす!」
「・・・美味しい?」
「ぅん。でも、ママのはんばぁぐもおいしぃよ」
「そお?じゃあ近いうちに作ろうかな・・・あ。翔ちょっと待って。ここにケチャップついてる」と言って、紙ナプキンで翔の口のまわりを拭いた。

「たべてもいーい?」
「いいよー。岸川さんも私たちを待たずに、どうぞ食べて・・・どうしたんですか?」

さっきからずっと、岸川さんが私たち――特に私――を見てるのは、向かいに座ってるからという理由だけじゃない・・気がするんだけど。

「あ。いやそのー・・・10年前は大人の女性に近づこうと背伸びしてたように見えた湖都ちゃんが、10年経った今は立派なお母さんになってるなぁと思ったらさ、なんか嬉しくて。つい見惚れてた」
「・・・は?」

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