恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
今この人は、私に向かって「見惚れてた」と言った・・・?のよね。
聞き違いかと思ったけれど、岸川さんの頬に、少し赤みがさしていたり、伏し目がちになってるところを見る限り、やっぱりそうじゃないみたい。
と自覚した瞬間、時間差で岸川さんと同じような照れの状態になってしまった私は、それをごまかすように、手に持っていた紙ナプキンをビリッと破いた。

「ちょ、ちょっとっ。なんでそんなこと言って・・・!」
「さあ・・なんでかな。でもさ、すげー感慨深いことだよこれは。うん!」と言った岸川さんは、自分の言葉に納得いったように、2・3度頷いた。

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