恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
岸川さんが、私に右手を差し出した。
なぜか、親指を立てた握りこぶしの「グッジョブ」スタイルで。

「はーい、じゃあ俺と拳合わせて」
「え?」
「で、親指のここを」
「えっ?なっ、なに・・」
「こうしてブチュッと・・」
「えぇっ!?」

岸川さんは、左手で私の右手首をそっと持つと、自分と同じような「グッジョブ」スタイルを作らせて、立てたお互いの親指の指紋部分を、拇印を押すようにくっつけ合わせた。

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