恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
つい口が滑って言ってしまった・・・。
だけど岸川さんには「今の話は聞かなかったことにしてください!」なんて、言える雰囲気じゃない。
それでも私は思わず両手を、自分の口を塞ぐように置いていた。

「湖都ちゃん」
「・・・はぃ」
「あのときのこと、どこまで覚えてるんだ?」
「え。っと・・・・・・岸川さんとタクシーに乗った、ところで途切れて。その前もちょっと曖昧っていうか、断片的で、あとは・・・・・・気づいたら朝になってて、わ、わたし、ベッドに・・・ぃた・・」

「ほぼ裸で寝てた」とまでは言えない!
あぁ、なんかすごく・・・いたたまれない、雰囲気・・・。

私は重圧に負けたように、そして岸川さんの顔を見ないで済むように、顔をうなだれた。

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