恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「ほ、本当?」
「ああ」
「本当に!?」
「ホントだって。“俺たちは一緒に寝たのか”って聞いてんのなら、“寝てない”が答えだ。湖都が俺のベッドを独り占めしたから、俺はリビングのソファで寝たよ」
「あ・・・あぁ、そうだったんだ・・」
「もっとハッキリ言えば、セックスもしていない」
「ぇ。で、でも!私、服、着てなかった・・・ですよ?」
「そりゃあおまえが自分で脱ぎ始めたんだろーが」
「・・・え?わ、わたし、が・・・?」

顎に人さし指を当てて、口をポカーンと開けたままの、超間抜け面をしている私を気の毒に思ったのだろう。
岸川さんは、盛大な溜息をつくと「ホンット、なんも覚えてないんだなぁ、おまえは」と言いながら顔を左右にふった。

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