恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「あれは、自分で引き起こしたことだから。たとえ、岸川さんと、そうなってしまっていたとしても仕方ないって、ずっと・・自分を責めて。自分のことが信じられなくて。・・・私って、恋愛面は本当におくてで、誰かを好きになったりとか、告白したり、されたりといった経験もなくて。だから、当然誰ともつき合ったことなんてないまま、女子校を卒業したばかりの時に、岸川さんと・・ああいうことになってしまって――10年経った今は、誤解だったと分かったけれど――その後すぐ、大学に進学してからもずっと、男の人とおつき合いなんてできなかった。だって、自分がすごく・・身持ちが悪くてふしだらな女だと思ってたから・・・」
「あぁ、湖都」
「・・・ぁ」

隣に座っていた岸川さんが、私に手を伸ばした。
と思ったら、もう私はすでに、岸川さんに抱きしめられていた。

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