恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
岸川さんは、国立の駅まで私と息子を乗せてくれた。
「みのり園」まで一緒に行きたかった・・らしいけど、急な仕事が入っているので、一緒に行くのは時間的に無理だった。
どちらにしても、私は車で送迎をしないので、その方が助かるというか・・実際歩いてみないと、確かめようがないし、不器用な私は、実際に行ってみないとシミュレーションできないタイプなのだ。

『今日は本当にどうもありがとうございました。その・・いろいろと』
『いやいや。結果は今晩にでも教えて』
『はいっ。それじゃ。翔、岸川さんになんて言うの?』
『ぁりがとう!ミズキのおじちゃん!』
『おうよ!またごはん一緒に食べような』
『うん!ばいば~い』
『じゃ、失礼します』
『あ、湖都っ』
『はい?』
『黙って俺の前からいなくなるなよ』

私は驚いた表情を隠せないまま、思わず岸川さんの顔を見た。

< 286 / 483 >

この作品をシェア

pagetop