恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
そしていまだにこの人から「家庭の匂い」が感じられないのは、若さにこだわっているから?
・・・って、その点も岸川さんと同じだけれど・・岸川さんは本当に結婚してないし、一度も結婚したことがないらしいから、それは納得できることだ。

壮介さんは、「男らしい若さを保つために女と寝る――実際は露骨に“セックス”という言葉で表現した――ことは必要だ」と、言ったことがある。
つまりこの人は、「精力が盛んであること」イコール「男らしくて若い」と、本気で思っているのだ。
だから浮気をしてまで「男らしい若さ」を保とうとしていると分かったとき、私は主人と離婚することを、初めて意識した。
だって・・浮気をここまで堂々と正当化する人とは、考えや価値観が根本的に合っていないと思うから。
そして、私たちがお互いに妥協や歩み寄りをしない限り、「合わない」溝は絶対に埋まらないし、交わることもないから。
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