恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
私たちは、お互いに、妥協や歩み寄りをしたいとか、ましてしようとは思っていない。
「相手がこの人だから」と、お互いに思ってるから。

壮介さんは私に「やあ」と言って、営業的な笑みを向けた。

・・・この人の微笑みに、最初は惹かれた。魅力的な人だと思った。
だけど今では分かる。それが作り笑いだったことが。
欲しいと思ったものを手に入れようと計算されて行われたことだった、と・・・。

「・・どうして、連絡してくれなかったの。二日近く音沙汰無くて、心配じゃなかったの?」
「書置きしてたじゃないか」
「じゃ・・」
「ああ、読んだよ。家にはちゃんと戻った」
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