恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
あいつは、男の俺には腕力で敵うわけがないと分かっている。
実際、小柄で華奢なあいつは見た目通りか弱く、非力だ。
だから「女の涙」で訴えることが、俺から奪うための最終手段だったというわけだ。
結局、全部あいつの思い通りに事が運んでしまったじゃないか。
あーイライラする!
これでも俺なりに愛してやったんだぞ!
それをあいつは・・・。
自分のふがいなさは棚に置いて、俺の浮気を責めるかと思えば、次には「離婚してください」の一点張り。

大体、あいつが妻としての義務を果たさないから、俺は他の女で発散するしか方法がないじゃないか。
だが「それは嫌」。
そして俺とやるのも「嫌」。
・・・まったく。
それ以外のことなら、ほぼ完璧に良い妻、良い母親だったのに・・・。
やはり「体の相性が良い」ことは、夫婦生活を続けるにあたって外せない必須事項、だな。
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