恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
加えて今、焦るほど「家に入らなきゃ」と強く思っているにも関わらず、肝心なところで私の体が動かないという現実的な問題があった。
実家はすぐそこにあるというのに・・・。

壮介さんが一人で立ち去ったという現実に安堵しきったせいで、体に力が入らないのかもしれない。
もしかしたら、さっきの言い争いのとき、想像以上に体力を消耗していたのかもしれない。
動かしたのは主に口だけだったんだけど・・・。、
だから私はそのまま、翔を抱きしめて泣いていた。
壮介さんが戻ってこないことを願いながら。

もうしばらく・・ううん、あと少しだけでいい。このままでいよう。
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