恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
取り戻せない、信頼
母が“残業”せずに「白樺」から帰宅したのは、夕方7時過ぎだった。
玄関まで出迎えにも行かず、家のあかりは一つもつけず(それほど暗くもなかったけれど)、リビングのソファで一人、ぽつんと座っている私を見ただけで、何かがあったと容易に察しがついたのだろう。
「夕食の用意はしておく」と約束しておきながら、結局何も作ってなかった私を、母は全く責めることなく、簡単な食事とコーヒーを二人――母と私の――分、用意してくれた。
ただ母は、料理をしながら「翔くんは?」と私に聞いたので、私は「部屋で寝てる」と簡潔に答えた。
玄関まで出迎えにも行かず、家のあかりは一つもつけず(それほど暗くもなかったけれど)、リビングのソファで一人、ぽつんと座っている私を見ただけで、何かがあったと容易に察しがついたのだろう。
「夕食の用意はしておく」と約束しておきながら、結局何も作ってなかった私を、母は全く責めることなく、簡単な食事とコーヒーを二人――母と私の――分、用意してくれた。
ただ母は、料理をしながら「翔くんは?」と私に聞いたので、私は「部屋で寝てる」と簡潔に答えた。