恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「もし壮介さんが強引にでも翔くんを連れて行ってたら、あの人のことよ、自分一人じゃ育てることができない、でも母親の手には絶対に渡したくないからって、施設にでも預けてたかもしれないじゃない」
「ちょっとお母さん!そんな恐ろしいこと・・・想像でも言わないで!」
「あぁ、ごめんね」
「一時だけでも、翔と離れ離れにならなきゃいけないって覚悟したとき。覚悟を決めても・・・辛かった。一瞬死んだって思ったくらい・・ううん、死んだ方が、マシかも・・こんな生き地獄を味わう日々は嫌だって、いっそ私を殺してから翔を連れて行ってほしいって・・・」

あのときのことを思い出しただけで、私の目からは涙がとめどなく溢れ出てきた。
本当に今日は・・よく泣く日だ。
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